2021年4月4日、香取神宮で御田植祭が執り行われました。
令和2年は一般公開中止となりましたが、令和3年は規模を縮小して一日だけで開催されました。
香取神宮の御田植祭は、通称”かとりまち”と言われ、その年の五穀豊穣を祈るものです。
大阪住吉大社・三重伊勢神宮とならび日本三大御田植祭の一つに数えられています。
通常、御田植祭の1日目は耕田式、2日目が田植式とされますが、今年は拝殿前にて鎌・鍬・鋤・牛を使って田植え前の田んぼを耕す風景を模した儀式と、8人の稚児による田舞や早乙女手代による植初め行事である耕田式だけでした。
2日目の田植式での、稚児や神職などが参道から御神田へと向かう行列は、さながら時代絵巻のようですが、残念ながら今年は見られませんでした。
ですが、早乙女手代によってしっかりと御神田へは苗が植えられていますよ。
この御田植祭の見どころといったら、早乙女と呼ばれるお稚児さん8人のかわいいこと。2~3歳くらいの女の子たちが慣れない衣装に身を包みながらも、権禰宜さんに、「今日は、みんなはお米の妖精さんだよ」と言われれば、その気になるもんです。
小さな手に、稲の苗を携えて。大きな牛におびえながらも、しっかりと妖精になった一日でした。
こうして何百年もの間、関東一の米どころを誇る香取市の五穀豊穣はお祈りされてきました。
今年もきっと、美味しいお米ができるにちがいありません。
えになるかとり かとりっぷ
第四十六回 稚児の手に早苗
文・写真 きのしたまみ
提供元 (株) NIPPONIA SAWARA