第十五回 重伝建に住む人々

香取市佐原の重要伝統的建造物群は、小野川に沿ってあります。

川沿いに植えられた柳と相まって、江戸の風情が感じられる、とっても趣のあるところ。

そんな小野川沿いを散歩してみると、たまにおもしろいものも見つかります。

灯籠の上に鎮座する置物。それも点々と、いくつも。時々新しくなってたり、入れ替わってたり。格子戸の隣にひょっこり現れる、丸ポスト。丸ポストとおさるさん。

猫よけのかごの中には金魚。お祭りのあとには増えてたり…

川沿いの家の人は、家の前の道路は、自分のうちという感覚があります。
それは、昔、各家々の前には専用の出し(船から荷物を上げ下げするところ)があったからでしょうか。
ですから、場所によって柳の脇の空いたスペースがきれいに植栽されていたりします。

ちょっと疲れた人が休憩できるようなベンチもあったり。
作り込まれた景観ではなく、町に住む人々が、江戸情緒を残しながらも今を楽しむまちづくりをしています。

重伝建地区でありながら、今もなお実際に住んでいる人がいる、それが、佐原の良さだと思います。

訪れたときは、町の人にちょっと声をかけてみてください。

きっと照れながらも、いろんなことを教えてくれますよ。

みんな、佐原好きが溢れてきちゃうと思います。

えになるかとり かとりっぷ
第十五回 重伝建に住む人々
文・写真 きのしたまみ
提供元 (株) NIPPONIA SAWARA