長らく養生で覆われていた三菱館(佐原町並み交流館)の全貌が見えてきました。
ドームの銅板がピッカピカで、以前と印象がガラリと変わりました。
佐原三菱館は、大正3年に建てられたレンガ造の2階建ての建物です。旧三菱銀行佐原支店で、平成元年に香取市に寄贈され、現在は町並み交流館として訪れる人の散策の拠点となっています。
建物は、県でも有数の洋風建築物であり、千葉県の有形文化財に指定されています。
東日本大震災の被災により、内部は立ち入りを中止していましたが、今回の耐震補強、外観復元工事の完了により、再び中へ入れることになるでしょう。
外観の銅板が銅の色をしているのは今の時期だけです。
だんだんとまた緑青に包まれ、町並みと合った古めかしさを醸し出します。
私は、この歴史を刻む過程が好きです。
佐原の町並みは、古くからずっとあるもの、近年復元されたものとがありますが、当時を再現されたものは、はじめからヴィンテージ加工を施さず、自然にまかせて町並みに溶け込ませます。
長い年月をかけるから出てくる味わい。
そして、そのプロセスを見られるのは、今を生きる私たちの特権だと思います。
生まれ変わった三菱館、ぜひ見てください。
えになるかとり かとりっぷ
第三十七回 緑青の歴史を刻む
文・写真 きのしたまみ
提供元 (株) NIPPONIA SAWARA