東日本大震災から10年。
あっという間だったように感じても、地震があるたびにあの日の揺れが鮮明に思い出されます。
香取市でも液状化や建物の倒壊などの被害がありました。
マンホールはせり上がり、地盤は沈下、橋に段差ができるところもありました。
佐原の重要伝統的建造物群保存地区の中心を流れる小野川は、川の水が無くなり舟が土に乗っている状態でした。
護岸も崩れたところがありましたが、今はきれいに直りました。
その小野川の護岸が最初に整備されたのは、大正7年のことです。
江戸より水運の町として隆盛を極め、その拠点となった小野川。
東日本のハブとして、商人たちが役所に頼らない自治をしていました。
それぞれの商家の前に、荷物の上げ下げをするための”だし”と呼ばれる場所があります。
今でもその跡や、復元されたものが見られます。
そして、時代とともに移り変わる護岸の模様。
当初の銚子石や伊豆石が使われていた所も、わずかですが見ることができます。
整備された年代により、護岸の変化を見ることができるのです。
石の境目を探しながら舟に乗るのもおもしろいですね。
復興とともに忘れてしまいがちな記憶ですが、石垣は静かにその時を残してくれています。
これからも後世にその姿を見せてくれることでしょう。
えになるかとり かとりっぷ
第四十二回 時の流れと石垣
文・写真 きのしたまみ
提供元 (株) NIPPONIA SAWARA