第八十二回 災いをサケる鮭祭り

香取市にはいろんなお祭りがあります。「佐原の大祭」はもちろんですが、奇祭とよばれる側高神社の「ひげなで祭」など、年間を通してたくさんあります。
そんななか、毎年12月の第1日曜日に行われる山倉大神の例大祭も一風変わっています。

この例大祭(初卯祭)は、もともと霜月初卯の日に行われていたもので、別名「鮭祭り」と呼ばれます。
むしろ、鮭祭りの方が定着している感もありますね。

祭りの起源は明らかになっていませんが、その昔、近くを流れる栗山川に上がる鮭を捕えた人が、鮭の頭に大の字があったので、これを山倉大神へ奉納したことが始まりともいわれています。
鮭祭りが近づくと、きまって鮭が遡上してきたとも言われていて、興味深いですね。

お祭りの日には、奉納された鮭を小さい切り身にして、護符として参拝者へ頒布されています。
この護符、”災いをサケる”と、なんとも洒落がきいていて、病災消除 特に風邪薬として知られています。
今の季節にぴったりのお守りです。

例年は、鮭を献上する古式ゆかしい行列が組まれ、夕方には神輿渡御も行われますが、今年は静かに行われたようです。
コロナ禍にあっても、神事を連綿と続けていくのはとても大変ですが、ありがたいことだと思います。
そうやって、地域のみなさんのがんばりがあって、伝統文化というのは受け継がれていくんだなとつくづく思います。

来年は、みんなが待ち望んだいつものお祭りができますように。

えになるかとり かとりっぷ
第八十二回 災いをサケる鮭祭り
文・写真 きのしたまみ
提供元 (株) NIPPONIA SAWARA